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離職防止のために企業が取り組むべき対策とは?|原因の調べ方や進め方を解説

離職状況を把握する
離職を防止するには、まず、離職がどの社員層に集中しているのかを把握する必要があります。
会社全体の離職率だけを見ても、どこで・どのような問題が起きているのかまではわかりません。ここでは、離職状況を把握する際の注意点を説明します。
部署・職種・役職・勤続年数ごとに確認する
離職状況を調べる際は、会社全体の離職率だけでなく、退職者を部署や職種、役職、勤続年数などに分けて確認します。
全社の離職率に大きな変化がなくても、特定の部署で退職が続いていたり、入社後1年以内の社員の離職が増えていたりする場合があります。反対に、離職率が高くても、定年を迎えた社員の退職や事業の縮小などが影響していることもあります。
また、管理職の離職が多い企業と入社間もない社員の離職が多い企業では、考えられる原因も異なります。
勤続年数についても、「入社後1年以内」「1年以上3年未満」「3年以上」などに分けると、どの時期に退職が起きやすいのかを把握することができます。
離職が集中している社員層を特定する
部署や職種、役職、勤続年数などに分けて確認したら、どの社員層に離職が集中しているのかを特定します。
例えば、同じ部署で退職が続いている場合は、業務量や上司との関係、職場内のコミュニケーションに問題がないかを調べます。
若手社員の離職が目立つ場合は、仕事内容とのミスマッチや成長機会への不満が考えられます。管理職の退職が多ければ、業務負担や役割、評価のあり方を確認する必要があります。
退職者数だけで判断すると、社員数の多い部署や職種ほど離職が多いように見えます。所属する社員数に対して退職者がどの程度いるのかを確認し、他の部署や過去の離職状況とも比較してみましょう。
離職が集中している社員層を絞り込むことで、退職を申し出た社員への聞き取りや現在働いている社員への調査を、どこから始めるべきか判断しやすくなります。
離職原因を調べる方法
離職原因を正しく把握するには、退職を申し出た社員から聞いた退職理由だけで判断しないことが重要です。退職時に本音をすべて話すとは限りませんし、複数の要因が重なっている場合もあります。
ここでは、自社の離職原因を調べる主な方法を紹介します。
退職を申し出た社員と現在働いている社員の声を集める
退職を申し出た社員には、本人の意向に配慮しながら、退職面談への協力を依頼します。
退職面談は、直属の上司ではなく、人事担当者など比較的中立な立場の社員が行う方が、人間関係への不満や上司の関わり方について本音を聞きやすくなります。
また、どの面談でも共通して確認する質問項目を決めておけば、複数の退職者に共通する傾向も確認できます。
一方、現在働いている社員の不満や悩みは、普段から行う1on1や従業員サーベイを通じて確認します。1on1では個々の社員が抱えている事情を聞き、サーベイでは部署や社員層ごとの傾向を把握します。
退職を申し出た社員と現在働いている社員の両方から声を集めることで、退職に至った理由だけでなく、今後の離職につながる可能性がある課題にも気づきやすくなります。
>>>離職防止を目的とした面談で確認する項目については、「社員が辞めない面談シートの作り方|離職防止に役立つ質問例とテンプレート」で紹介しています。
勤怠・評価・異動などの社内データと照らし合わせる
面談やアンケートから得た内容は、残業時間や休暇の取得状況、評価結果、異動歴などの社内データと照らし合わせて確認します。
また、異動先の部署で社員の退職が続いていないか、欠勤や休職が増えていないかといった点も確認します。
社員の声と社内データに共通する傾向があれば、個人だけの問題ではなく、職場や制度に原因がある可能性も考えられます。
集めた情報から共通する傾向を探す
社員の声や社内データを、部署・職種・役職・勤続年数などに分け、同じ不満や退職理由が繰り返し出ていないかを確認します。
社員一人の退職理由だけで離職の原因を決めるのではなく、複数の社員に共通する内容や同じ社員層で繰り返し起きている問題にも注目します。
離職につながる主な原因
離職の原因は、給与や労働時間、上司や同僚との人間関係、評価への不満、仕事内容など、複数の要因が重なって退職に至る場合もあります。
ここでは、離職につながる主な原因を紹介します。
給与や労働条件への不満
給与や昇給、賞与などの待遇が、業務量や責任に見合っていないと感じることは、退職を考える理由の一つになります。
また、「有給休暇を取りにくい」「手当や福利厚生が十分ではない」といった、労働条件への不満が原因となることもあります。
但し、退職者が「給与に不満があって退職する」と話していても、それだけが本当の原因とは限らない場合もあるため、他の状況とあわせて確認する必要があります。
業務量や長時間労働による負担
慢性的な残業や人員不足によって業務への負担が大きくなると、疲労やストレスが蓄積し、退職を考える原因になります。
「業務量が一部の社員に偏っている」「担当者が休むと仕事が回らない」「常に納期に追われている」といった状態が続いている場合には、注意が必要です。
上司や同僚との人間関係
仕事内容や待遇に大きな不満がなくても、上司や同僚との人間関係を理由に退職を考えることがあります。
例えば、「上司から一方的に指示される」「相談しても取り合ってもらえない」「同僚から協力を得られない」といった状態が続くと、職場で孤立しやすくなります。
また、「周囲と協力しながら仕事を進められない」「互いに意見を交わしたり、刺激を受けたりする機会が少ない」「見習える上司や先輩、切磋琢磨できる同僚がいない」と感じることも、退職を考える原因になります。
仕事への姿勢や目指す方向が周囲と大きく異なる場合は、より前向きに働ける環境を求めて転職を考える社員もいます。
評価や処遇への納得感の不足
評価基準や昇給・昇進の条件がわかりにくい職場では、何を基準に評価され、今後どのような成果を求められているのかがわかりません。
また、同じような成果を出していても「評価に差がある」「評価理由を十分に説明してもらえない」といった状態が続くと、評価への不信感につながります。
評価結果そのものだけでなく、評価の基準や決め方、結果の伝え方に納得できないことも、退職を考える原因になります。
仕事内容や入社前の認識とのずれ
入社前に聞いていた仕事内容と、実際に担当する業務が大きく異なる場合、希望していた働き方ができず、会社への不信感につながることがあります。
例えば、「希望していた仕事をほとんど担当できない」「採用時には説明されていなかった業務が多い」「期待していた役割を任せてもらえない」といったケースです。
成長機会や将来のキャリアが見えない
同じ業務を繰り返し、新しい仕事や学ぶ機会が少ないと、自分が成長している実感を持てない社員もいます。
また、今後どのような仕事を任されるのか、社内でどのようなキャリアを歩めるのかがわからない場合もあります。
現在の仕事を続けても将来の姿を描けないと感じると、成長やキャリアの機会を求めて転職を考えることがあります。
相談や意見を言いにくい職場環境
仕事の悩みや職場への不満があっても、上司や周囲に相談しにくい職場では、問題を一人で抱え込みやすくなります。
「何を言っても否定される」「失敗を責められる」「相談しても状況が変わらない」といったことが続くと、次第に発言しないようになります。
周囲には問題なく働いているように見えても、不満や負担を相談できず、退職を決めるまで会社が気づかないこともあります。
離職原因に応じた対策を考える
離職対策を考える際は、離職につながっている原因を把握し、その原因に合った対策を選ぶ必要があります。
退職面談や1on1、従業員サーベイ、社内データから見つかった課題を整理し、優先して取り組む対策を決めます。
ここでは、原因ごとに考えられる主な対策を紹介します。
給与・評価制度への不満
給与への不満が多い場合は、同業他社や同じ地域の企業と比べて、自社の給与水準に大きな差がないかを調べる必要があります。その際は、基本給だけでなく、賞与や各種手当、福利厚生も含めて確認します。
但し、給与額を上げるだけで不満が解消されるとは限りません。何を基準に昇給や賞与が決まるのかわからなければ、自分の成果や行動が、どのように反映されているのかわかりません。
評価基準や昇給・昇進の条件を明確にし、評価面談では、評価結果とその理由に加え、今後求める成果や行動も本人に伝えることが大切です。
業務量の偏りや長時間労働
特定の部署や社員に業務が集中している場合は、担当業務や残業時間を確認し、業務の割り振りや人員配置を見直します。
本人の仕事の進め方だけではなく、「必要な人員が足りているか」「一部の社員しか対応できない業務がないか」「不要な会議や作業が増えていないか」なども確認し、業務負担が偏っている原因を整理します。
業務が属人化している場合は、手順を共有し、複数の社員が対応できる体制へ見直します。
また、管理職が部下の業務量を把握し、負担が大きくなる前に分担を調整できるようにしておくことも必要です。
残業時間だけを減らそうとして業務を持ち帰らせたり、限られた時間内に同じ仕事量を求めたりすれば、社員の負担は軽減されません。労働時間とあわせて、業務量や仕事の進め方まで見直します。
上司や同僚との関係
特定の上司や部署で退職が続いている場合は、個人間の相性だけで判断せず、上司の関わり方や職場内のコミュニケーション、社員同士の協力関係に問題がないかを確認します。
上司との関係に課題がある場合は、「指示を出す際に理由を説明する」「部下の話を最後まで聞く」「失敗したときも一方的に責めずに原因と改善方法を話し合う」など、普段からの関わり方を見直します。
また、同僚との協力が得られない場合は、業務の分担や役割を確認します。社員同士が意見を交わす機会が少ない場合は、仕事の進め方や課題について話し合う場を設けることも必要です。
キャリアや成長機会への不安
社員が将来のキャリアを描けず、成長する機会も少ないと感じている場合は、社内でどのような役割を担えるのか、どのような経験を積めるのかを示します。
社員の経験や習熟度に応じて、これまでよりも難しい仕事や新しい役割を任せます。その場合は、目的や期待する役割を伝え、業務を任せた後も相談に応じることが必要です。
研修やeラーニングを活用する場合は、学習機会を用意するだけで終わらせず、学んだことを実務で試せる仕事や役割もあわせて検討します。
入社後のミスマッチや早期離職
入社してから間もない社員の離職が多い場合は、求人情報や面接で伝えている内容と、入社後の仕事内容や職場環境に違いがないかを確認します。
採用時には、具体的な業務内容や求める役割、働き方に加え、担当する可能性がある業務や繁忙期の状況も伝えます。
また、一定期間ごとに面談を行い、仕事や人間関係で困っていることがないかを確認します。問題があれば、業務の教え方や担当業務、相談相手などを見直します。
働き方や職場環境への不満
「休暇を取りにくい」「働く場所や設備に不便がある」といった声が多い場合は、現在の働き方や職場環境のどこに問題があるのかを確認します。
育児や介護など、社員によって必要な働き方は異なります。業務内容に応じて、時差出勤や在宅勤務、短時間勤務などを選べるようにすることも対策の一つです。
制度を設けても、上司や同僚の理解が得られず、利用しにくい雰囲気があれば、社員は利用をためらいます。制度を利用した社員に仕事が偏らないよう、業務の分担も調整します。
離職対策を実施して終わりにしない
離職につながる原因を特定しても、対策を決めただけでは職場の状況は変わりません。
ここでは、離職対策を具体的な改善につなげるための進め方を紹介します。
課題を「本人・上司・会社」に分ける
社員の不満や悩みがわかったら、その原因が「本人・上司・会社」のどこにあるのかを整理します。
本人の仕事の進め方だけでなく、上司の関わり方や会社の制度・職場環境が影響している場合もあるからです。
例えば、仕事の進め方や報告の方法に問題がある場合は、本人が行動を見直すことで改善できる可能性があります。上司の指示の出し方や業務の任せ方に原因があれば、上司側の関わり方を変える必要があります。
一方、分かりにくい評価基準や人員不足、働き方に関する問題は、本人や上司だけでは変えられません。このような課題は、会社が制度や職場環境を見直します。
課題ごとに担当者と対応内容を決める
課題を「本人・上司・会社」に分けたら、誰が何に取り組むのかを具体的に決めます。
本人に見直すべき点がある場合、仕事の進め方や考え方、周囲との関わり方など、改善が必要な内容を本人と話し合います。
上司の関わり方に課題がある場合は、「指示を出す際に理由を説明する」「部下の話を最後まで聞く」「業務を任せた後も相談できるようにする」など、今後の関わり方を決めます。
会社が取り組む課題については、評価制度や人員配置、働き方など、見直す対象と対応内容を整理します。
その上で、担当する部署や責任者、対応する期限を決めます。大切なことは、「人事で検討する」「今後見直す」といった曖昧な状態にしないことです。
社員に確認結果や今後の対応を伝える
課題の確認を終え、今後の対応方針が決まったら、その内容を社員へ伝えます。
説明がないと、「話しても何も変わらない」と受け取られ、今後は不満や悩みを話してもらえなくなる可能性があります。
対応する内容が決まっている場合は、どの課題を誰がいつまでに見直すのかを説明します。詳細がまだ決まっていない場合も、検討している内容や結論が出る時期の目安を伝えます。
対策後の現場や社員の変化を把握する
離職対策を行った後は、離職率だけで効果を判断せず、課題となっていた現場の状況に変化があったかどうかを確認します。
例えば、業務量を見直した場合は、「残業時間や休日出勤が減ったか」「特定の社員への業務集中が解消されたか」を確かめます。
上司の関わり方を見直した場合は、1on1や従業員サーベイを通じて、社員が以前より相談しやすくなったかを確認します。
一度決めた対策を続けることを目的にせず、社員の声や社内データを改めて確認しながら、対策の内容や優先順位を修正していくことが必要です。
まとめ
離職を防止するには、まずはどの部署や職種、社員層で離職が起きているのかを把握することから始めましょう。
その上で、退職を申し出た社員や現在働いている社員の声を集め、勤怠や評価、異動などの社内データと照らし合わせながら、自社の離職原因を調べます。
離職につながる原因は、給与や評価、業務量、人間関係、キャリア、働き方など、企業や社員によって異なります。
単純に、よくある施策を取り入れるのではなく、自社で見つかった原因に応じて、取り組む対策を決めることが重要です。
また、対策を実施するだけでは、離職防止にはつながりません。見つかった課題を「本人・上司・会社」に分け、担当者や対応内容を明確にした上で、社員にも確認結果や今後の対応を伝えます。
対策後も現場や社員の変化を把握し、改善が見られなければ、対策の内容や離職原因の捉え方を見直しましょう。

ステッド編集部 人材育成コンテンツ担当:榎本
人材育成や組織づくりに関する情報を発信しています。企業の教育施策や学習環境づくりに役立つ情報を、現場目線で分かりやすくお届けします。

