記事公開日:
最終更新日:
人材育成にeラーニングを導入するメリット・課題とは?|活用例や選び方を解説

はじめに
「社員教育にeラーニングを導入すると、どのようなメリットがあるのだろうか」
「集合研修やOJTと比べて、どのような違いがあるのだろうか」
eラーニングは、時間や場所を選ばず学べることや、研修運営の負担を減らせることなど、多くのメリットがあります。
一方で、受講が後回しになったり、学んだ内容が実務につながらなかったりする課題もあります。
この記事では、eラーニングの基本的な仕組みから、導入するメリットと課題、具体的な活用例、サービスの選び方まで解説します。
自社の人材育成にeラーニングが適しているか、導入する際に何を確認すべきかを考える参考にしてください。
1.eラーニングとは
人材育成にeラーニングを取り入れる際に知っておきたい、基本的な仕組み、LMSの役割と主な機能を説明します。
1-1.eラーニングの仕組み
eラーニングは、動画やスライドなどの教材を、社員がパソコンやスマートフォンから受講できる人材育成サービスです。
人事・人材育成担当者が教材と受講対象者を設定するほか、契約内容や会社の運用方針によっては、社員が提供されている講座から自分で受講したいものを選ぶこともできます。
受講履歴や進捗状況はシステム上に記録されるため、担当者は誰がどの教材を受講し、どこまで進んでいるかを確認できます。
確認テストを設定すれば、教材の内容をどの程度理解しているかも把握することができます。
1-2.LMSの役割と主な機能
LMS(Learning Management System)とは、eラーニング教材の配信や受講状況、テスト結果などを一元管理する学習管理システムです。
企業向けのeラーニングサービスでは、主に次のような機能が利用されています。
|
主な機能 |
できること |
|
受講者管理 |
社員を部署・職種・役職などに分けて登録する |
|
教材の配信 |
対象者ごとに受講する教材を設定する |
|
進捗・修了管理 |
受講状況や未修了者、修了日を確認する |
|
テスト・アンケート |
理解度の確認や受講後の意見収集を行う |
|
通知・リマインド |
受講期限や未受講を社員へ知らせる |
|
レポート |
部署別の受講率やテスト結果を確認する |
こうした機能により、教材の配信、受講状況の確認、理解度の把握などを一つのシステム上で管理することができます。 
2.eラーニングを利用するメリット
eラーニングには、集合研修やOJTとは異なる利点があります。
人材育成に取り入れる主なメリットを、次の4つに分けて説明します。
2-1.時間や場所を選ばず学べる
eラーニングは、インターネット環境があれば、パソコンやスマートフォンから受講できます。
勤務先や勤務時間が異なる社員も、それぞれの業務予定に合わせて学習を進めることが可能です。
新卒・中途採用などで入社のタイミングが異なる場合でも、業務に必要な基礎知識や社内ルールを教材として用意しておけば、必要な時期に受講できます。
2-2.研修内容を統一できる
eラーニングで教材を統一すれば、所属する部署や勤務先にかかわらず、同じ内容を学ぶことができます。
特に、情報セキュリティやコンプライアンス、社内制度、業務の基本手順など、全社員が共通して理解する必要がある内容に適しています。
統一された教材を使用することで、社員に同じ内容を伝えられ、認識のずれや理解不足によるミスも防ぎやすくなります。
2-3.受講状況や理解度を把握できる
LMSを利用すると、社員ごとの受講状況や修了状況、テスト結果などを確認することができます。
未受講の社員や、受講を開始したものの、学習が進んでいない社員を把握できるため、必要に応じて受講を促すことも可能です。
例えば、特定の設問の正答率が低ければ、教材の説明を見直し、特定の部署で未受講者が多ければ、学習時間の確保やリマインド方法を改めるといった対応が考えられます。
受講状況やテスト結果をもとに、教材や運用方法を見直せる点もメリットです。
2-4.研修運営の負担を抑えられる
eラーニングでは、一度登録した教材を繰り返し配信でき、受講状況もLMS上で確認できます。
集合研修のように、講師や会場の手配、参加者の日程調整、資料の準備、出欠確認などを行う必要がないため、研修運営にかかる作業や費用を減らせます。
定期的に実施するコンプライアンス研修や、新入社員向けの研修など、繰り返し行う研修に同じ教材を活用でき、担当者がその都度準備する負担も抑えられます。
3.eラーニングを導入する際の課題
eラーニングを導入する際は、メリットだけでなく、運用や教材選びで起こりやすい課題も確認しておく必要があります。
3-1.受講が後回しになりやすい
eラーニングは、社員が自分の予定に合わせて受講できる反面、受講する時間を本人に任せるだけでは、日常業務が優先され、受講が後回しになることがあります。
特に、受講期限や受講時間が明確に決まっていない場合は、「時間があるときに受けよう」と考えたまま、受講が進まないことがあります。
受講の目的や業務との関係が社員に伝わっていなければ、研修の必要性を感じにくい場合もあるでしょう。
集合研修のように受講日時が決まっていないため、社員が受講時間を確保できるよう、受講の進め方を社内で決めておく必要があります。
3-2.実践につながりにくい場合がある
eラーニングでは業務に必要な知識を学べますが、その知識を実務に活かすには、実践を通じた経験も必要です。
例えば、接客や営業、部下とのコミュニケーションなどは、実際に試し、相手の反応を見ながら改善していくことで身についていきます。
そのため、実践を伴う研修では、eラーニングだけで完結させるのではなく、集合研修やOJTと組み合わせることで、学んだ内容を実務で試す機会を設けることが大切です。
4.eラーニングの活用方法
4-1.eラーニングを活用しやすい研修
eラーニングは、多くの社員に同じ内容を伝える研修や、繰り返し実施する研修に適しています。
例えば、次のような研修に活用できます。
- 情報セキュリティやコンプライアンスなど、全社員が同じ内容を学ぶ研修
- 新入社員を迎えるたびに実施する、社内制度や業務の基礎研修
- 商品知識や業務手順など、定期的な確認が必要な研修
- 法改正や社内ルールの変更に合わせて、対象者へ一斉に案内する研修
複数の拠点で働く社員や勤務時間が異なる社員にも、自分の仕事の予定に合わせて受講してもらうことができます。
また、同じ内容の研修を繰り返し実施している場合は、社員数が少ない企業でも、研修準備や説明にかかる負担を減らせます。
4-2.対象者別の活用例
eラーニングは、受講する社員の役割や経験に応じて、さまざまな研修に利用できます。
|
対象者 |
主な活用例 |
|
新入社員・若手社員 |
ビジネスマナー、社内制度、情報セキュリティ、商品・サービスの基礎知識 |
|
中堅社員 |
問題解決や業務改善の考え方、後輩指導の基本、担当業務に必要な専門知識 |
|
管理職 |
労務管理、評価やフィードバック、ハラスメント防止、マネジメントの知識 |
|
全社員 |
コンプライアンス、情報セキュリティ、社内ルール、制度変更に関する研修 |
例えば、新入社員には、配属前に社内制度や商品知識を学んでもらい、配属後のOJTで実際の業務を経験してもらう方法があります。
管理職研修では、労務管理や評価に関する基礎知識を事前に学び、集合研修で事例をもとに話し合うといった使い方ができます。
対象者の階層だけで教材を決めるのではなく、担当する業務や身につけてほしい知識に合わせて、受講内容を設定することが大切です。
4-3.集合研修・OJTとの使い分け
eラーニング、集合研修、OJTには、それぞれ向いている学習内容があります。
|
研修方法 |
向いている内容 |
|
eラーニング |
基礎知識の習得、共通ルールの周知、繰り返し確認したい内容 |
|
集合研修 |
質疑応答、意見交換、事例検討、ロールプレイ |
|
OJT |
実際の業務を通じた指導、作業手順の習得、個別のフィードバック |
例えば、営業研修では、商品知識や商談の基本をeラーニングで学び、集合研修でロールプレイを行います。
実際の商談では、上司や先輩が同行し、話し方や進め方を指導します。
基礎知識は"eラーニング"、意見交換や実践は"集合研修"、実務に即した指導は"OJT"というように、研修の目的や学ぶ内容に応じて使い分けることが大切です。
5.eラーニングサービスの選び方
eラーニングを導入する際は、自社の育成目的や研修の進め方に合ったサービスを選ぶことが大切です。
ここでは、サービスを導入する際に、確認したいポイントを紹介します。
5-1.育成目的に合う教材があるか確認する
eラーニングサービスを選ぶ際は、誰に何を学んでもらうのかを明確にし、その目的に合った教材があるかを確認します。
例えば、新入社員向けにはビジネスマナーや情報セキュリティ、管理職向けにはマネジメントや部下育成など、対象者によって必要な教材は異なります。
また、受講者の知識や経験に合った難易度であることも重要です。
自社の商品知識や業務手順などを学習内容に含めたい場合は、独自の動画やPDFを教材として登録できるかも確認しておきましょう。
5-2.必要な機能と操作性を確認する
eラーニングサービスを選ぶ際は、自社の研修に必要な機能が備わっているかを確認します。
例えば、対象者ごとの教材設定、受講状況の管理、テスト、アンケート、リマインドなどがあります。
また、受講する社員だけでなく、人材育成担当者にとっても操作しやすいことが重要です。
無料体験やデモ画面を利用できる場合は、次の点を確認しましょう。
【受講する社員の視点】
- 目的の教材を見つけ、迷わず受講を始められるか
- パソコンやスマートフォンで画面や動画を見やすく、操作しやすいか
【人材育成担当者の視点】
- 受講対象者や教材を設定しやすいか
- 受講状況やテスト結果を確認しやすいか
- 必要な情報をレポートとして出力できるか
5-3.料金とサポート体制を確認する
料金は、月額料金だけでなく、初期費用や利用人数に応じた料金の違い、必要な機能やサポートに追加料金がかかるかも確認しましょう。
また、初めてeラーニングを導入する場合は、導入準備や運用について、どのようなサポートを受けられるかも重要です。
サポート内容には、例えば次のようなものがあります。
- 初期設定や社員登録に関する案内
- 育成目的に合う教材の選定に関する相談
- 受講する教材や順番の設定支援
- 管理画面の操作方法に関する問い合わせ対応
- 導入後の運用に関する相談
6.まとめ
eラーニングで学んだ内容を仕事で使えるようにするには、受講後のフォローまで含めて考えることが大切です。
受講率やテスト結果だけでなく、社員がどこでつまずいているのか、実務で使えているのかを確認し、その状況に合わせて教材や進め方を見直します。
上司が業務の中で補足したり、OJTで実践する機会を設けたりすると、学んだ内容を仕事に取り入れやすくなります。
導入時は、対象者と目的が明確な研修から始めると、受講の進め方や担当者の負担を把握しやすくなります。
そこから得た経験をもとに、教材や運用方法を整えながら、対象となる部署や研修を広げていくとよいでしょう。

ステッド編集部 人材育成コンテンツ担当:榎本
人材育成や組織づくりに関する情報を発信しています。企業の教育施策や学習環境づくりに役立つ情報を、現場目線で分かりやすくお届けします。

