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自己啓発を企業が支援する理由とは?|支援策と事例を紹介

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1.はじめに

「社員に自発的に学んでほしいが、会社としてどこまで支援すべきだろうか」
「社員が学びたいと思っても、仕事の忙しさや費用が負担になっているのではないか」

人材育成を担当する中で、このような悩みを感じたことはありませんか。

社員が自主的に学ぼうとしても、時間や費用などが負担となり、思うように取り組めない場合があります。

こうした障壁を減らし、社員の自主的な学びを後押しするために、会社には何ができるのでしょうか。

本記事では、企業が自己啓発を支援する理由や具体的な支援策、中小企業4社の事例を紹介します。

また、支援制度を設ける際に注意したい点についても解説します。

2.自己啓発とは

自己啓発とは、自分の意思で知識やスキルを高めたり、考え方や価値観を見つめ直したりしながら、自分自身の成長を目指すことです。

会社から指示されて受ける研修とは異なり、本人が自らの意思で学ぶ点が特徴です。

学習内容は、仕事に役立つ専門知識やビジネススキルに限らず、視野を広げることや内面的な成長も含まれます。

3.企業が社員の自己啓発を支援する4つの理由

企業が社員の自己啓発を支援する理由は、大きく4つあります。

企業が社員の自己啓発を支援する3つの理由

3-1.仕事に役立つ知識やスキルを身につけてもらう

会社が自己啓発を支援する理由の1つは、社員が学んだ知識やスキルを仕事に活かし、業務の改善や課題解決につなげてほしいという期待があるからです。

自己啓発による学びは社員本人の成長につながるだけでなく、仕事で活かされることで、自社の事業にも貢献する可能性があります。

実際に、労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査によると、従業員100〜299人規模の企業153社のうち、74.5%が、自己啓発を支援する理由について「売上・利益の従業員への還元」よりも「事業への貢献」に近いと回答しています。

出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査(企業調査)」

3-2.自ら課題を見つけ、学び続ける姿勢を育てる

会社が用意する研修だけでなく、社員自身が仕事上の課題を見つけ、必要な知識やスキルを自発的に学ぶ姿勢も大切です。

社員が直面する課題や必要な知識は、担当業務や経験によって異なります。

そのため、会社が用意する研修だけでは、社員1人ひとりが必要とする知識やスキルをすべて補えるとは限りません。

例えば、初めて部下を持った管理職が、部下への指導方法に悩む場合があります。

その際、研修だけでなく、自ら書籍や外部講座で学ぼうとする姿勢があれば、直面している課題に応じて必要な知識を身につけることができます。

3-3.人材の採用・定着につなげる

学習機会を充実させ、人材の採用や定着につなげることも、会社が自己啓発を支援する理由の1つです。

仕事を通じて成長したいと考える求職者にとって、資格取得の補助や自由に学べる制度があることは、勤務先を選ぶ際の判断材料になります。

また、入社後も知識やスキルを高めたい社員にとって、学習を続けられる環境は、今の会社で働き続ける理由の1つにもなるでしょう。

3-4.自己啓発の障壁を減らす

社員に学びたいという意欲があっても、仕事の忙しさや費用の負担が妨げとなり、自己啓発に取り組めない場合があります。

こうした負担を減らし、社員が学びやすい環境をつくることも、会社が自己啓発を支援する理由の1つです。

厚生労働省の「令和7年度能力開発基本調査」によると、自己啓発を行う上で問題があると回答した正社員のうち、58.5%が「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」、26.2%が「費用がかかりすぎる」と回答しています。

また、21.6%が「自分の目指すべきキャリアに適した講座等がわからない」と回答しており、学習内容や講座選びに悩む社員もいます。

自己啓発を行う上での主な問題

会社が費用を補助したり、学習時間を確保しやすくしたり、教材や講座の情報を提供したりすることで、社員が自己啓発に取り組む際の負担を軽減できます。

出典:厚生労働省 令和7年度「能力開発基本調査」

4.会社ができる自己啓発支援の具体例

自己啓発支援には、費用の補助、学習時間の確保、教材の提供などがあります。

ここでは、中小企業で実際に導入されている制度を交えながら、4つの支援方法を紹介します。

4-1.書籍購入や講座の受講、資格取得にかかる費用を補助する

書籍の購入費や講座・セミナーの受講料、資格試験の受験料などを会社が補助します。

費用を全額負担するだけでなく、年間の補助上限額や補助率を設定する方法もあります。

資格取得に対して報奨金や資格手当を支給する制度もその1つです。

企業の取り組み例

大阪精工株式会社(従業員280名)

大阪精工株式会社では、資格取得に必要な研修費・教材費・受験費用を全額補助しています。さらに、資格取得後には取得奨励金や毎月の資格手当を支給しています。対象資格には、品質管理検定、日商簿記、ビジネスキャリア検定、電気工事士などがあります。

出典: 大阪精工株式会社「採用情報」

4-2.社員が学習時間を確保できるようにする

自己啓発のための特別休暇を設けたり、講座の受講に合わせて勤務時間を調整したりする方法です。

平日の日中に開催される講座や数日間にわたる外部研修などは、通常の勤務と両立することが難しい場合があります。

こうした学習に参加できるよう、会社が特別休暇を設けたり、講座の開催時間に合わせて勤務時間を調整したりする方法があります。

 

企業の取り組み例

株式会社シーエムエー(従業員22名・2026年9月時点)

株式会社シーエムエーでは、社員の自発的な学習を支援するため、2017年から「教育訓練休暇制度」を導入しています。社員が希望する外部研修などを申請し、会社の承認を得ると、年次有給休暇とは別に特別休暇を取得できます。研修費や往復交通費も会社が負担しています。

出典: 株式会社シーエムエー「教育訓練休暇制度」

4-3.学習教材や講座、学習情報を提供する

社員が自分に必要な教材や講座を見つけられるよう、会社が学習コンテンツや情報を提供します。

eラーニングや書籍要約サービスなどを導入するほか、社外セミナーの開催情報や資格取得に関する情報を社内で案内することも考えられます。

企業の取り組み例

株式会社プロテックエンジニアリング(従業員115名・2024年公表値)

株式会社プロテックエンジニアリングでは、ビジネススキル、PCスキル、語学など、185種類のテーマから自由に選べるeラーニング制度を導入しています。社外の研修機関を利用したセミナー参加制度もあり、社員は約3,000種類の講座から、自分に合うものを選んで受講できます。

出典: 株式会社プロテックエンジニアリング「自己学習支援制度」

4-4.社員同士が学び合う機会を設ける

社員が自主的に参加する勉強会や読書会を開催することも、自己啓発支援の1つです。

開催に必要な会場・設備の提供や、教材の購入費・運営費の補助などを通じて、会社が活動を支援します。

こうした活動によって、社員が学んだ知識や仕事で得た経験を共有し、互いの考え方に触れる機会が生まれます。

企業の取り組み例

株式会社サンロフト(従業員54名/正社員・2026年7月時点)

株式会社サンロフトでは、社員が自主的に立ち上げた社内読書会「MORI」を、2025年12月から隔月で開催しています。読書会では、書籍を題材に、社員が仕事で感じた課題や自身の経験について意見を交わしています。新入社員から管理職・役員まで、部署や役職を超えた社員が参加しています。

出典: 株式会社サンロフト「社内読書会でつくる『斜めのつながり』ウェルビーイングの実践」

5.社員の自己啓発を支援する際の注意点

社員の自己啓発を支援する際には、本人の自主性を尊重するとともに、制度の利用条件や自己啓発を人事評価の対象とするかどうかにも注意が必要です。

5-1.自己啓発を事実上の義務にしない

自己啓発は、社員が自分の意思で取り組むことが前提です。

例えば、全社員に年間の学習時間目標を設定し、達成できなければ昇給や昇格で不利になる場合、制度上は任意でも、社員にとっては事実上の義務となりかねません。

また、会社が業務として研修への参加や学習を指示した場合、その時間は労働時間に該当します。

社員の自主性を尊重し、自己啓発を事実上の義務にしないことが重要です。

出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」

5-2.自己啓発と人事評価の関係を明確にする

自己啓発に取り組んだこと自体を評価するのか、学習によって身につけた能力や仕事上の成果を評価するのかは、分けて考える必要があります。

例えば、社員がマネジメントに関する書籍を読み、学んだ知識を部下の指導に活かした場合、読書したこと自体と実際の指導で発揮された能力は、別の評価対象です。

自己啓発への取り組みを人事評価に反映すること自体が禁止されているわけではありません。

ただし、学習時間や受講回数を評価基準にすると、仕事や家庭の事情で学習時間を確保しにくい社員が不利になる可能性があります。

社員の自主性を損なわないためにも、何を評価の対象とするのか、あらかじめ基準を明確にしておくことが重要です。

5-3.制度を利用しにくい社員がいないか確認する

自己啓発支援の制度を設けても、部署や勤務形態によっては、利用しにくい社員が出てくる場合があります。

例えば、外部講座に参加するための特別休暇を設けても、業務の都合で休暇を取得しにくい部署があれば、社員によって制度を利用できる機会に差が生じます。

また、資格取得費用の補助対象を特定の職種に限定する場合、その条件が会社の支援目的に合っているかを確認する必要があります。

すべての社員に同じ支援を提供する必要はありませんが、制度の目的とは関係のない理由で利用しにくい社員が生じていないかには、注意が必要です。

6.まとめ

自己啓発は社員が自主的に行うものですが、会社が学習機会を提供したり、費用を補助したりすることで、社員が学びやすい環境を整えることができます。

また、社員が自ら学び、そこで得た知識やスキルを仕事に活かすことは、本人だけでなく、組織の成長にもつながります。

ただし、制度を用意すれば、必ず社員が自己啓発に取り組むとは限りません。

「うちの社員は自己啓発に関心がない」「制度を設けても利用されない」と感じている場合は、まず社員が何を学びたいのか、学ぶ上で何に困っているのかを聞いてみてはいかがでしょうか。

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ステッド編集部 人材育成コンテンツ担当:榎本

人材育成や組織づくりに関する情報を発信しています。企業の教育施策や学習環境づくりに役立つ情報を、現場目線で分かりやすくお届けします。

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